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当院での手術症例



症例1

 92歳男性。肺気腫、呼吸不全で入院中、右第2・4・5趾に潰瘍出現。腎機能障害があるため非造影MRAを施行し、右:浅大腿動脈閉塞、膝下動脈閉塞を認めた。局所麻酔下に右鼠径部からカテーテルを挿入し血管内治療を施行した。
(造影剤使用量30ml)

右浅大腿動脈に対してはステント留置(
右膝下動脈に対してはバルーン(風船)で拡張(

症例2

 74歳男性。慢性腎不全で維持透析施行。閉塞性動脈硬化症(左浅大腿動脈狭窄、左膝下動脈閉塞)があり、以前左浅大腿動脈狭窄に対してステント留置術を施行。薬物治療を行っていたが左第5趾の感染、潰瘍を発症したため、左膝下動脈閉塞に対して大伏在静脈()を使用し、大腿動脈-膝下動脈(後脛骨動脈)バイパス術を施行した。

症例3

 83歳女性。糖尿病、高血圧、閉塞性動脈硬化症(左大腿動脈-膝窩動脈バイパス術後)で定期外来通院中、安静時右下肢痛出現。下肢動脈3DCTで右総大腿動脈及び浅大腿動脈の高度狭窄を認めた。動脈硬化は非常に強く、病変部位から血管内治療だけでは治療困難と判断し、血管内治療と外科治療を組み合わせて行うハイブリッド治療を行った。

症例4

 76歳男性。他院にて重度肺気腫、閉塞性動脈硬化症(右外腸骨動脈及び左腸骨動脈ステント留置後、右大腿動脈-膝窩動脈バイパス術後)で定期外来通院中、右下肢の安静時疼痛が出現したため当院受診。右下肢ABIは測定不能、下肢動脈3DCT及び下肢動脈造影検査で、右総腸骨動脈から膝窩動脈(大腿動脈-膝窩動脈人工血管バイパスグラフト含む)にかけて、非常に長い閉塞病変を認めた。重度の肺気腫があるため全身麻酔下での外科的治療(バイパス手術)は困難と判断し、局所麻酔下で血管内治療と外科治療(血栓除去術)を組み合わせて行うハイブリッド治療を行った。

症例5

 79歳男性。当院にて慢性腎不全(透析管理)、狭心症(冠動脈形成術後、低心機能)、糖尿病で通院中、起床時右足の感覚がなく、起立不可能となったため救急搬送。右下肢ABIは測定不能。下肢動脈3DCTで、右総大腿動脈以下末梢の閉塞を認めたため、緊急に血管内治療を施行し血流再開できたが翌日再閉塞した。低心機能(EF 21%)であったため、局所麻酔下での外科的治療(血栓除去術+バイパス手術)を行った。

症例6

 症例は83歳男性。閉塞性動脈硬化症、肺機能低下(拘束性障害)、心房細動、脳梗塞、貧血で当院内科定期外来通院していたが、施設入所中、右下腿に潰瘍・浮腫が出現したため当科受診。右下腿は足部を中心に多発する潰瘍を認め、発赤・腫脹、感染を伴っていた。下肢動脈造影CTで右浅大腿動脈起始部から膝下膝窩動脈にかけて長い閉塞病変を認めた。既往に肺機能低下(%VC39%)があり、低血圧(最低収縮期血圧60mmHg台)、低体重(38kg、-10kg/年)、ADL低下(車いす生活)、抗血小板薬内服、両側大伏在静脈閉塞を認めたため、全身麻酔あるいは腰椎麻酔下での下腿動脈バイパス術は困難と判断し、より低侵襲に治療を行うため、局所麻酔下ハイブリッド治療(大腿-膝窩動脈人工血管バイパス術+血管内治療)を行った。

症例7

 症例は73歳男性。慢性腎不全で当院内科外来通院中、左下肢間欠性跛行を認めたため当科紹介受診。左下肢ABIは0.71と低下。高度腎機能障害(Cr 4.03mg/dl、e-GFR 12.3)があるため、造影検査は透析導入の可能性が非常に高いと判断し、下肢動脈非造影MRAで評価した。結果、左浅大腿動脈に高度狭窄の所見を認めたため、腎機能に影響を与えない二酸化炭素を使用し、血管内治療を施行した。

症例8

 症例は75歳男性。高血圧で近医定期外来通院中、両下肢間欠性跛行を認めたため当科紹介受診。下肢ABIは左0.62、右0.73と低下。下肢動脈造影CTおよび下肢動脈血管造影検査で、両側腸骨動脈狭窄および左浅大腿動脈狭窄の所見を認め、閉塞性動脈硬化症と診断。手術適応あり両側腸骨動脈病変に対して血管内治療を施行した後、今回左下肢(浅大腿動脈)に対して血管内治療を施行した。より低侵襲で行うため、左足先(足背動脈)よりカテーテルを挿入し治療した。




症例9

 症例は89歳男性。高血圧、脂質異常症、ラクナ脳梗塞、間質性肺炎、慢性胃炎で近医定期外来通院中、両足趾の痛み・黒色化を認めたため近医皮膚科受診。内服加療されていたが、症状増悪傾向であり当科紹介受診。右第3趾および左第2趾の壊疽を認め、下肢ABIは右0.61、左0.62と低下。下肢動脈造影CT検査で両側浅大腿動脈閉塞の所見を認め、閉塞性動脈硬化症(重症虚血肢)と診断。手術適応あり両下肢(浅大腿動脈)に対して血管内治療を施行した。