骨粗鬆症を原因として、些細なきっかけで背骨がつぶれてしまう骨折(脊椎圧迫骨折)のための治療法として2011年に経皮的椎体形成術(バルーンカイフォプラスティー:略してBKP)が正式に保険収載されました。
欧米では既に1998年より、この手術が広く行われており、日本においても近年その有効性と安全性が認められています。
この治療は全身麻酔下に、5mmほどの傷から骨折した椎体の中にバルーンカテーテルを挿入し、風船をふくらませることで椎体の高さの回復を図り、潰れた骨を骨折前の形に近づけられます。(骨折して間もないケースに限ります)そして、椎体内に作られた空洞に骨セメント(プラスチック樹脂)を充填し、骨折した椎体を中から固めて固定する方法です。
全身麻酔による約20分程度の短い手術で、速やかな疼痛の軽減が得られます。
手術跡も小さく、手術そのものによる痛みはほとんどありません。
術後3時間程度で離床できるので、入院期間も2泊3日程度と短く、ご高齢の方でも施術可能な極めて低侵襲な手術です。
当院には多数の紹介患者様が来院され、年間150件前後のBKPを行っており、これまで1,000件以上の手術実績があります。
【直近の手術実績】
2021年4月~2022年3月 152件
2022年4月~2023年3月 147件
2023年4月~2024年3月 122件
※椎体高の復元が可能な手術時期には限りがあります。
骨折してから時間が経過すると、BKPは適応できなくなりますので、考慮したい場合はお早めに医師にご相談ください。
ご希望の方は脊椎専門外来でご相談ください。
上野医師 月曜午前(10:30~12:00)・火曜午前(9:00~12:00)・木曜午前(10:30~12:00)
※脊椎専門外来は、紹介患者様に限らせていただいております。
受診される際は、事前にご予約いただき紹介状をお持ちの上、受診ください。
予約をお取りでない方につきましても受診はいただけますが、長時間お待ちいただく場合がございます。
外部リンク(取材) BKP(経皮的椎体形成術)|【上野 正喜】ひとつの治療法や手技にこだわらず、できるだけたくさんの選択肢を用意し、患者さんごとにベストな治療法を提示します。 (kansetsu-itai.com) 取材日:2017.5.23
当院の上野医師らの論文が日本脊椎脊髄病学会誌に掲載され、優秀論文賞を受賞しました。
BKP術後続発性椎体骨折に対する骨粗鬆症治療薬の影響の検討 -RomosozumabとTeriparatideの比較- (原著論文)
上野 正喜(慶泉会町田慶泉病院 整形外科), 古舘 武士, 田島 佑輔, 鳥海 恵美, 吉井 亜希 Journal of Spine Research(1884-7137)12巻5号 Page735-743(2021.05)
当院の上野医師らの論文がアジア脊椎学会誌に掲載されました。
外部リンク Use of Parathyroid Hormone and Rehabilitation Reduces Subsequent Vertebral Body Fractures after Balloon Kyphoplasty. Ueno M, Toriumi E, Yoshii A, Tabata Y, Furudate T, Tajima Y. Asian Spine J. 2022 Jun;16(3):432-439.
当院の上野医師らの論文が国際骨粗鬆症学会誌に掲載されました。
外部リンク Comparative analysis of anti-osteoporosis medications in preventing vertebral body fractures after balloon kyphoplasty. Ueno M, Tajima Y, Ito S, Tsuji M, Toriumi E, Yoshii A, Otake N, Tanaka H. Arch Osteoporos. 2024 Mar 21;19(1):19.