骨粗鬆症とは骨の量が減り、質も劣化して、骨の強度が低下し骨折しやすくなる病気です。
骨粗鬆症になっても痛みは発生せず、身長が縮む、背中が丸くなるといった症状が徐々に起こるため病気と気づかないことも少なくありません。
骨粗鬆症になると「軽く転んだ」「尻もちをついた」「重いものを持ち上げた」等の日常起こりうる事で背骨や太もものつけ根、手首などの骨折を生じやすくなります。
また骨折の治療に時間がかかるので、その間に全身状態が低下し、寝たきりになるおそれもあります。
骨の中では、骨吸収(古い骨が壊されること)と骨形成(新しい骨がつくられること)が繰り返されており、骨吸収が骨形成を上回ると骨量が減少していき、骨粗鬆症になります。
男性にも見られますが女性に多く、特に閉経後のホルモンバランスの崩れによって起こります。他には老化や遺伝、喫煙や過度の飲酒、運動不足や過度の飲酒などが原因になります。
続発性骨粗鬆症では、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、関節リウマチや糖尿病などの病気、ステロイド剤の長期服用なども原因になります。
骨粗鬆症予防は、運動と栄養が基本です。
骨粗鬆症の主な治療は薬による治療です。骨粗鬆症になった骨を以前のように戻す薬はありませんが、骨の吸収を抑える薬、骨の形成を助ける薬、骨吸収と骨形成の骨代謝を調節する薬による治療を行います。
病態に即した製剤を使用すること、また薬を継続して使用することが重要となります。
リエゾンとは、フランス語で連携や連絡という意味です。医師や看護師だけでなく、理学療法士、薬剤師、管理栄養士、放射線技師、社会福祉士など多くの専門職がチームになって治療のサポートを行うことをリエゾンサービスといいます。
目的は、最初の骨折への対応及び骨折リスク評価と、新たな骨折の防止、また最初の脆弱性骨折の予防です。サービスの提供対象は大腿骨近位部骨折例、その他の脆弱性骨折例、骨折リスクの高い方や転倒リスクの高い方、高齢者一般です。
すでに英国、豪州、カナダではこのようなサービスが実施され、他職種連携による骨折抑制を推進するコーディネーターの活動によって、骨折発生率が低下し、トータルでは医療費も少なくて済むことが報告されています。
2019年7月より骨粗鬆症リエゾンサービスを立ち上げました。
整形外科医、看護師、理学療法士、薬剤師、管理栄養士、放射線技師、社会福祉士で構成されており、2020年4月からは8名の骨粗鬆症マネージャーが在籍予定です。
まだ始まったばかりの取り組みではありますが、少しでも骨粗鬆症による骨折を減らす
ことができるよう皆様のサポートを行ってまいります。
※骨粗鬆症マネージャーとは
骨粗鬆症診療支援コーディネーターの役割を担い、骨粗鬆症に関する知識を有するメディカルスタッフで資格認定試験に合格した者を骨粗鬆症マネージャーと呼びます。
お気軽にご相談ください。
当院では2020年から骨粗鬆症による高齢者の脆弱性骨折を予防するために、多職種(医師、看護師、薬剤師、理学療法士、放射線技師、管理栄養士、社会福祉士)がそれぞれの専門性を活かし、連携することにより、骨粗鬆症の治療・骨折予防を図る“骨粗鬆症リエゾンサービス”を展開して参りました。
この取り組みがIOF(国際骨粗鬆症財団)より認められ、2022年には「Silver standard」に認定されておりましたが、この度「Gold standard」に昇格されました(2024年11月)。
この認定制度は、高齢者の二次骨折予防のための「骨粗鬆症の評価や治療」「二次骨折予防のための追跡調査・予防活動システム」などの13項目について国際的評価基準によって審査され認定されるもので、日本全国でもGold standardは22施設しか獲得できておりません。東京都内では2施設目となります。
今後も質の高い医療の提供を目指し、スタッフ一同活動して参ります。
医療法人社団慶泉会 町田慶泉病院 OLS委員会